ソプラノズ ニューアークに舞い降りたマフィアたち

ソプラノズ ニューアークに舞い降りたマフィアたち

ニューアークで活動をするマフィアの構成員トニー・ソプラノズを描いたドラマ「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」の前日譚を描いた犯罪ドラマ。

若きトニー・ソプラノが育ったのは、ニューアークの歴史の中でも激動と混乱の渦巻く時代。それはまさにライバルのギャングたちが台頭し、ディメオ・ファミリーの覇権に挑もうとしていた頃だった。そんな変わりゆく時代の波に翻弄されたのが、トニーの憧れの存在である叔父のディッキー・モルティサンティ。多感な 10 代の若者は叔父の影響を受けながら、やがて絶対的なマフィアのボス、トニー・ソプラノへと成長してゆく。

ニューアークを舞台に、マフィアの生活、人種差別での黒人の暴動、米国のベトナム戦争問題を背景に、変貌するアメリカ社会と共に変わってゆくマフィアの存在を描いた作品で、暴動のシーンが金をかけたセットで迫力があり、バイオレンス・シーンも犯罪物としては生々しく描かれております。

「グッドフェローズ」での強烈なマフィアという存在のインパクトを演じたレイ・リオッタが、老年の落ちぶれたマフィアの構成員で登場しており、相変わらずの演技の良さが光っていますが、割と早めに死んでしまう扱いに、時代の流れを感じさせられる演出です。
しかし、まさかのダブルキャスティングでレイ・リオッタが再登場、やはりこれほど強烈な個性を放つ役者をちょい役で使うわけがないと安心。

この暴力の世界に浸りに浸りきったマフィアの男達は、粗暴でキレやすく他人の命などなんとも思わない極悪非道の存在として、この作品でも凶悪さは凄まじく、下品なジョークばかり喋る高校生のように振る舞いながら人殺しをする悪魔のような印象です。
マフィアというと”ファミリー”としての絆を重んじて、妻子供まで組織のメンバーとして離婚などせずに暮らしているイメージですが、この作品ではイタリア人らしく色欲に溺れ、恨み裏切り、血の繋がった家族すらも激情に駆られて殺すという、ファミリーとはなんぞやと思うほど非道で、全く違うイメージをもってしまいます。

個人的に脇役などで個性的な演技をする好きな役者ばかりキャスティングされていて、それだけでも見応えがある構成となっておりまして、特にレイ・リオッタとベラ・ファーミガの二人の演技力は別人かのような役柄に浸るほどの迫力で大好きでございます。

とはいえ、ドラマを鑑賞していないので登場人物に思い入れがなく、やはりドラマを先に鑑賞するべきだったかもしれません。

マフィアという男達のイメージが変わるくらい、クズさが溢れていて、片手で愛し合いながら、片手で殴りつけるというDV男の典型的パターンで、思い通りにいかないと簡単に殺してしまう子供のような感性には、ドン引きしてしまいます。
だからこそ一般社会では生きることが出来ずに、反社会で生きることしか出来ないのでしょうか。
そのリアルな生活を描いているようにも見えました。

キャスト

監督:アラン・テイラー
出演:アレッサンドロ・ニボラ、レスリー・オドム・Jr、ジョン・バーンサル、コリー・ストール、マイケル・ガンドルフィーニ、レイ・リオッタ、ベラ・ファーミガ
制作:デビッド・チェース
脚本:デビッド・チェース、ローレンス・コナー
原題:The Many Saints of Newark
製作年:2021年
製作国:アメリカ
時間:120分

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